英国議員の事務所でのインターン(1/3) - 概要

やや一般的なタイトルをつけておいてなんですが、イギリス下院議員の事務所でのインターンシップは、サポートする議員によって、事務所でやる事や、そのやり方が全く異なります。私が現在インターンシップをしているJacob Rees-Mogg議員と、インターンシップのための面接をさせてもらった際は、あまり突っ込んで仕事の内容を聞く時間はありませんでした。その後、その時にインターンをしていたロンドン市長選挙の選対本部での同僚たちに、議員秘書インターンってどんなことをさせてもらえるんだろう、と聞いても、「議員によってぜんぜん違うんだよねえ」という感じでよく分かりませんでした。実際、議会オフィスで働き始めて、他の議員の秘書やインターンと話をしていても、やはり議員によってかなりやることは異なるようです。したがって、あくまでもあまり一般化できる話ではないかもしれませんが、私が働いている事務所での仕事を簡単に説明してみます。書いてみたらやや長くなってしまったので、数回に分けて書きたいと思います。

事務所全体の仕事は大きく分けて、議員のスケジュール業務、選挙区有権者NPOなどからの陳情対応(caseworkと呼ばれます)、議会活動のサポート、PR活動のサポートの4つだと思います。これらを、Rees-Mogg議員が10年近く前に設立した民間企業の秘書1人、議会にいる2人のスタッフ+私、選挙区の保守党支部で働くエージェントの、主に5人で仕事をしています。仕事の担当としては、議員の会社の秘書が基本的にはスケジュール業務を担当し、保守党支部のエージェントが選挙区での議員と有権者の面会のサポート(陳情対応の一部)を担当し、残りを議会にいるスタッフと私で担当します。議会にいる2人のうちの1人は、議会での勤務経験が豊富な方で、上記の4つのうちのPR活動のサポートなどとして、メディア関連を担当したり、その他の業務についてもややシニアなロールをしています。もう1人のスタッフと私は、主に選挙区有権者NPOなどからの陳情対応と、議会活動のサポートを担当しています。

この2つの業務の詳細は次回以降のエントリに書きたいと思いますが、事務所にはフルタイムのスタッフや私のようなインターンに加えて、work experienceとして1週間ほど事務所で仕事をする高校生が、わりと頻繁に来ます。私が来てから既に数人の高校生が働きに来ました。高校によって制度は異なりますが、イギリスの高校ではwork experienceと称して、高校生が1週間ほどの勤務経験をするというプログラムを取り入れているところがたくさんあります。もちろん、それまで勤務経験もなく、しかも1週間だけなので、仕事をするというよりも、民間企業でも議会の事務所でも実際の職場に入ってみて、なるべくたくさんの物を見たり、聞いたり、肌で感じたり、ということに重きが置かれます。その意味では、仕事ができるようになることを目的とするapprenticeshipとは、目的も内容も全く異なります。

私が働いている事務所にくる高校生の場合には、有権者NPOなどからの陳情対応で生じるたくさんの手紙のやりとり(詳細は次のエントリで書きます)を手伝ってもらいつつ、大臣のクエスチョン・タイムや本会議でのディベート、興味のある委員会を傍聴したりしています。Work experienceは、高校のプログラムとは言っても、学校で選択肢を用意してくれるわけではなく、高校生があの手この手で自分で探してきます。したがって、議員事務所に来てくれるような高校生は当然のことながら、政治に対する興味を強く持って来ています。「イギリスの政治家や大臣は、若すぎる人も多いし、政治以外での経験が何もない人が多くいるのは問題だ」とか、「貴族院 (House of Lords) の改革などと言って貴族院に選挙など導入したら、最初は庶民院 (House of Commons) の優位性を認めていたとしても、徐々にプレッシャーに抗うことが難しくなる。そうすると、二院の権力がほぼ同等になるまで近づき、お互いに法案をブロックするgridlockの状態が頻発することになる。だから自分は貴族院の改革には反対だ」などと、自分の考えを堂々と主張するところはさすがです。

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人によっては、同じタイミングで他の議員の事務所でwork experienceをしている友だちがいたりもするようです。Work experienceで高校生が事務所に来ている間は、当然ながら、彼らと一緒にランチも食べます。これまで、何人ものイギリス人の男子高校生と一緒にご飯を食べる機会などなかったので驚きました。身体も平均的に日本人よりひとまわり大きいですし、しかも高校生ですし、私の2〜3倍は食べてましたね。お昼ごはんを2回食べていた自分の高校時代を思い出しました。。。そんなこんなで、年齢を感じる今日この頃です(^^)