イニシアチブ

私の働いていた経営コンサルティング会社では、自分自身でイニシアチブをとって、新しいことを始め、その取り組みを自分のものとして最後までやりきることを、常に求められました。なにもそれは壮大なイニシアチブではなくても、日々の仕事の中でのちょっとしたチームの働き方の改善でも、ちょっとした追加的な分析でも、ミーティングの中でのちょっとした整理でも、自分の頭で考えて、何か新しいことを始め、それをやりきる、ということであれば何でもそれに当てはまると思っています。会社がそれを求めることにはいろいろな理由があると思いますが、一人の労働者としても、私はいつもそれが楽しくて好きでした。新しいことを始めるということは、失敗することもありますし、仕事も増えるでしょう。事実、自分もたくさんの失敗をしてきたと思います。でも、それにも増して、やはりイニシアチブをとって何かを進めることは楽しいといつも感じます。そんなわけで今日のテーマはイニシアチブです。

インターンを始めて2週間がたちました。この2週間の中で、いろんなロジの手配やら、資料の整理やら、ボスとの飲みなど、この部署がどんなことをしている部署なのかはおぼろげながら分かってきました。このまま淡々と仕事を続けるのも良いのですが、せっかくなので、この知識と今のポジションを生かして何かできないものか、先週ずっと考えていました。私が考えたものがそのままうまくいくかどうかは疑問ですし、門前払いにあう可能性も高いでしょう。でもうまくいけば、その取り組みそのものにも意味があるかもしれませんし、自分も今の部署の仕事をもっとよく知る機会にもなります。そこで今日、明日から出張でいなくなってしまうボスを捕まえて、話をすることにしました。どんな反応をするのかも事前にあまり予想がつかなかったので、出たとこ勝負で話をしてみると、ボスも非常に乗り気です。私のアイデアをdue diligence すると言いながら、たくさんの質問を受けました。そして、このイニシアチブを進めてみることになりました。すぐに失敗するかもしれませんが、ボスのサポートを受けながら、全力で進めたいと思います。これがうまくいくようであれば、インターン先の部署が変わっても、おそらく今のボスとの仕事は続けることになりそうです。

会社では仕事におけるイニシアチブだけではなく、常に自分のキャリアに対してもイニシアチブをとることを求められました。会社の中でのキャリア、会社の外も含めたキャリア、そのイメージがどうであろうとも、自分のキャリアを考えることを常に考えました。そこで、ボスと話したもうひとつのトピックは私のこのインターン中のキャリアです。最初のエントリである英国保守党でインターンをもらえた経緯にも書いたとおり、現在は保守党の国際部というところでインターンをしていますが、この後、保守党の調査部というところでインターンをすることに決まっています。調査部でのインターンを始める日は決まっている一方で、そのインターンの終わりは決まっていません。他にもやりたいことがあるので、どう進めていくのが良いか、ボスに相談してみました。保守党内の他の部署の仕事やそれぞれの部署での議員との接点なども、この2週間で以前よりは分かってきました。それをもとに、「今の自分の考えとしては、国際部と調査部のインターンに加えて、議員秘書インターンと、選挙担当の部署のインターンをしたい」と伝えました。すると、「選挙ね…」とつぶやいたと思ったら、「じゃあこの人を紹介するわ」と言ってもう立ち上がっています。紹介してくれたのはなんと、来年のMayor of London(大ロンドン地域の市長)の選挙を担当しているディレクターです。Mayor of Londonというのは現在のイギリス政治の中で重要なポジションを占めており、現市長のBoris Johnsonは、メディアでたびたび、現首相であるDavid Cameronの再選対抗馬として扱われるほどです。そのBoris Johnsonが来年のMayor of Londonの選挙に保守党の候補として出馬の予定です。その彼の選挙に関われるのであれば、これはもう、願ってもない機会です。また、議員秘書については、個々の議員との相性しだいというところもあるから、より議員との接触がある調査部でのインターンが始まってからまた相談することをアドバイスされました。もちろん、こんなのもはすべて皮算用なので、これからきちんとインタビューを受けなければいけません。このあたりのインタビューは10月以降の予定です。自分自身のキャリアに対するイニシアチブの幸運を祈っています。

そうは言っても、一介のインターンである自分の仕事の多くは、当然のことながら、自分のイニシアチブとは関係のないものです。今日はその他、先週から取り組んでいたブリーフィング資料を仕上げ、党大会のゲスト関連のデータのエクセルワークを行い、党大会で各国大使・高等弁務官とのミーティングをセットするための保守党議員の時間の確保(先週からの継続・追加)などをしました。ブリーフィング資料は一部の地域出身の方々について、インターネットでは容易に情報が手に入らなかったため、その地域のエキスパートの助けを借りつつ、資料を作成しました。今日は部署の皆が参加するミーティングに私も参加させてくれたので、自分がやっていることだけではなく、皆が何をしているのかも以前より良く分かりました。

そんなこんなで今日も仕事が終わりましたが、今日は仕事が終わってから、とある勉強会に出かけました。本日のテーマは日本の認定コーチによる「強みの活かし方」のセッションでした。彼によると「強み」とは「資質+知識+技術」です。その「強み」を活かすことが(必ずしも社会的な尺度ではない)成功につながるとのことです。そして、人にはそれぞれ、物事がうまくいく時の「強み」を活かす行動パターン(=成功パターン)があるのだそうです。人からフィードバックをもらいながら、それなりにうまくいった時の行動を自分でも振り返りながら、自分の「イニシアチブ」がうまくいくための成功パターンも確立できたら良いな、と思いました。