Feltham and Heston地区補欠選挙

すいません、やや、更新が途絶えました。11月21日の週の仕事について簡単に書いておきたいと思います。この週は主に直近で予定されている下院の補欠選挙のための仕事をしていました。もともとはこの選挙区からは労働党Alan Keen議員が選出されていたのですが、残念ながら11月10日に彼が亡くなったため、補欠選挙が行われることとなりました。今のところ、12月15日に補欠選挙が予定されているようです。

この選挙区における下院議員の選挙結果をwikipediaで簡単に振り返ります。ここはヒースロー空港のすぐ南東に位置し、伝統的には労働党の地盤です。1974年以降、サッチャー保守党政権下で行われた2回の選挙を除いて、いずれも労働党の候補者が下院議員に選出されています。Alan Keen議員が最初にこの選挙区で当選したのは1992年の選挙で、彼が保守党から議席を奪回した形ですが、彼がその後5期連続で当選しました。1期目こそ僅差での当選でしたが、ブレア政権誕生時やブレア政権下での2期目、3期目などは保守党の候補者を寄せ付けない強さを見せています。ただし、前回の2010年の選挙では、票差はかなり縮まり、再び、保守党が議席を奪回する可能性も残されています。今回の保守党候補者は2005年および2010年の選挙と同じくMark Bowen氏となることが決まりました。

この補欠選挙の応援のために、現職の保守党議員が現地に入る予定ですが、そのためのブリーフィング資料を調査部が作成することになっております。これに関連して、この週の前半に私がした仕事は、地味なものが主に2つあります。1つはここに保守党議員が応援演説に入る際の計画のために、ある特定のセクターの大きな組織が、どこにどんなものがあるか調べる、というものでした。前回のエントリ「保守党のローカル組織」でも書いた通り、イギリスの下院議員の選挙区の区割りは、やや複雑です。小選挙区の区割りと地方政府の区割りがバラバラなだけではなく、地方政府の区割りと地名もあまり連動していません。したがって、「この選挙区内にある組織」を探すのはどうしたら良いものかとちょっと悩みました。ただ、探してみるとすぐに、公式な情報としてはOffice of National Statisticsのウェブサイトに、非公式ですがgoogle mapをベースにしていて見やすいものをopenly localが提供していて、これを活用しました。

もう1つの私の仕事は、この地区に関連するある特定の領域で、保守党がどのような好影響を与えてきたのか、を調べるというものでした。この場合の「保守党」というのは、中央議会・政府もそうですし、ロンドン市政府もそうですし、場合によっては、保守党の区議(councillor)もそうですし、いずれの保守党「議員」「政府」も対象となります。やはりそれくらい、行政区分の階層を超えて、党と党の戦いという側面が強いのが、イギリスの選挙の特徴のように感じます。こうやって集められた情報が応援に入る国会議員にブリーフィングされ、そして、演説などで活かされていく、一貫した流れがあります。1つ疑問に思って、ただ、人に聞くタイミングを逃したのが、なぜこれを調査部がやって、地元のConservative Associationなどを巻き込まないのか、ということです。2つのしごとのいずれにしても、彼らのほうが圧倒的に詳細な情報を持っているわけですので。もしかしたら、私の知らないところでそちらとも連携しているのかもしれませんが、一方で、そこの連携が不十分だったとしても、複雑な組織なのであまり不思議はありません。

◆ ◆ ◆

気分で「ブログの詳細説明」を書き加えました。日本の民主党が目指した統治機構の改革は、明らかに英国型政治に影響を受けていると思われる部分が多々あります。その中で、明らかにうまく機能しなかったであろうものについて、それがなぜ日本でうまくいかなかったのか、説明を試みたいと思っています。