英国保守党でインターンをもらえた経緯

明日からいよいよインターンが始まりますが、今日は、このインターンをもらえることになった経緯を書いておきたいと思います。今後も、日本からイギリス政治の中で経験を積みたいと願う人がもしいたら、その方たちの参考になればと思ってこのエントリを書きました。

もともと私は米国コロンビア大学の2年プログラムに在籍していてLSEにくる予定はありませんでした。それをLSEとの共同プログラムに切り替えたのは、半分くらいはLSEでイギリス政治の勉強をしたかったからですが、もう半分は卒業後に実際にイギリス政治の中で働く経験をしたかったからです。特に、政権与党の中で働く経験をできれば理想的だなとぼんやりと考えていました。

そのために、まだニューヨークにいる間から、いろんなツテをつたってイギリス政治に詳しい人、イギリス政治の中で働いている/働いていた人を紹介してもらってはネットワーキングを続けました。友達の友達や、LSEの先生、LSEのクラスメート、ふとセミナーで知り合った人、LSEで書く論文のための調査という名の下のインタビュー、私的な勉強会などなど、しつこくその可能性を探りました。が、結局のところ、このルートで実際に仕事が見つかることはありませんでした。なしのつぶてとはこのことです。。。

当然ながら、同時並行でパブリック情報で何か機会がないかも探しました。この世界で仕事を探している人には有名なw4mp.orgはしょっちゅう開いては機会を探しました。政党のホームページから採用情報を探したりもしました。ただやはり、たった1年だけ働きたい、イギリス育ちでもない日本人の私には、お金をもらって国会議員の地元対応の秘書なんかできるはずもありません。最後まで情報は見続けましたが、やはりこのルートでも、実際に仕事が見つかることはありませんでした。

実際にこのインターンがもらえたのは、その両者、コネと公開情報、の中間でした。

上記2つがあまりにもうまくいかないので4月から次の作戦に出ました。個別の議員に直接「何か仕事をください」とコンタクトすることにしました。目をつけたのはBritish Japanese Parliamentary Group(英日議連:日本に関心の強い超党派の議員グループ http://www.bjpg.co.uk/ http://www.publications.parliament.uk/pa/cm/cmallparty/register/japan.htm)です。BJPGというくらいなのだから、そこに所属する議員ならきっと、日本人を手元に置いておいて役に立つ仕事も少しはもっているんじゃないか、と考えたのです。で、誰にコンタクトするのが良いか知りたいと思って、とりあえず事務局に連絡をとってみました。グループのメンバーシップは公開情報以外は機密情報らしいので、具体的に誰にコンタクトすると良いとか、そういうことはあまり教えてくれませんでした。しかし、素敵なことを2つ話せました。

1つ目はこのグループのレセプションが6月にあり、良いネットワーキングの機会になるから、そこの受付をボランティアで手伝わせてくれるというものでした。当日は、受付で参加者のネームプレートを探して渡すという、超雑用をしましたが、良いこともありました。ここでも多くの方に出会うことができて、その中に一人、議会のある局のディレクターとお知り合いになることができました(この方、この話の終わりにもまた登場します)。そしておまけとして、会場は議会の中のテムズ川沿いの部屋だったのですが、レセプションの終了後、グループの事務局と代表の議員の方のアフター的なパブ飲みに参加させてくれました。このパブがまた、議会の中のテムズ川沿いのテラスにあるところで、普段なら入れないところで気持ちよく飲めました。

2つ目は、今後、いろんな国会議員にコンタクトするに際して、メールではなく手紙でコンタクトするのが良いよ、という超具体的なアドバイスでした。その方いわく、この世界はいまだに手紙には一定の敬意が払われるから、とのことでした。そして、私の手紙攻撃が始まりました(^^; グループの所属議員として名前の公表されている保守党議員10人ほどに拙い手紙を書きました。ほとんどは返事もありませんでしたが、イギリス議会の上院である貴族院(House of Lords)の議員(つまり貴族)がわざわざ、私に手書きの手紙で、残念ながら仕事ないのよゴメンネ、と書いてくれたことにはビックリしました。それで、結果的にはこの個別議員ルートも全滅しました。

結果的には個別議員ルートもうまくいかなかったのですが、手紙を書いている際に、個別議員ではなく政党そのものにも手紙を書こう、と思いました。政党に手紙を書こう、とは言っても、誰も知りません。人事部みたいなものがあるのでしょうがその担当者が私の手紙をみて「なんとかしてやるか」と思ってくれる感じも全くしません。組織図が手に入るなら、それを片手に、関係ありそうなところのヘッドに手紙を送ることもできたかもしれませんが、そんな便利な組織図はそうそう転がっていませんでした。で、どうしようかと考えて、せっかくだからChairmanに送るか…、と決めて4月15日に会長に手紙を書きました。

待てど暮らせど何の音沙汰もありません。同時期に出した個別議員への手紙に対する断りの返事がたびたび返ってくるくらいです。そうして、私は失意の中、5月14日に予定されていたコロンビア大学の卒業式のためにニューヨークに向かいました。失意の中とはいえ、当然ながらニューヨークを満喫して、それなりに気持ちも切り替えてロンドンに返ってくると、保守党から手紙が来ています。またどうせ断りの手紙かと思って開いてみると、なんと、「あなたの履歴書とカバーレターをまわしておいたから国際部のディレクターにコンタクトを取って下さい」、というような主旨のメッセージと共にそのディレクターのメールアドレスが。まだ何も決まっていないのに、希望が残されただけで感動しました。。。

早速、どのディレクターにコンタクトをして面接をセットしましたが、うまく日程があわず面接は結局、試験期間ど真ん中の6月の半ばに。別に数日で用意できることもそこまでないので、知っていることを喋ろうと思いつつ、日本の政治状況についてのペラ紙1枚のアップデートシートを手土産として携えて、指定された時間に保守党本部へ。面接では主に自分の修士論文のテーマであった日本とイギリスの政治の比較を話しました。両国があまりに違って面白かったのか(とりわけ日本では政治家の戸別訪問が厳密には禁止されていることに驚愕していました)ディレクターはかなり満足で、その場で、調査部(Research Department)の人も紹介してくれて、他の部署の人や国会議員も紹介してくれると話してくれました。

面接が終わりディレクターとの別れ際、「じゃあ、いつまでに正式なオファーを出せば良いの?」と聞かれたので、「7月15日」と告げると、「じゃあ、それまでに連絡しますね」と言われる。この時点でかなり有頂天。しかし、そんなにすんなりとはいってくれない。7月15日の2週間前になっても、1週間前になっても連絡がこない。不安になったので、メールや電話で「どうなってるの?」と聞いてみると、「あともう一人、中で話をしないといけなくて」というようなことを言われるだけで、全く確約してくれません。そしてついに、7月15日…。

実はこの日はLSEの卒業式の日。卒業式も終わり、学校主催のレセプションも終わり、自分の所属したプログラムのレセプションが始まりました。その間にも何度か電話しているがなかなか通じません。不安絶頂。と、不意に携帯がなり、取り損ねる。。。番号は非通知でしたが、そのディレクターに違いないと信じて、また電話してみたらやっとつながり、「国際部でインターンのオファーを出します」とのお言葉をついにいただきました。さらに、「調査部でもインタビューをしたいので来週の火曜日に来れますか?」と聞かれ、もちろん「はい。行けます。」と答えました。「じゃあこれから調査部のディレクターにCCでメールを送るから、二人でメールを通じて時間を調整してね」と言われました。

約束通りメールがきていたので、土曜日の午前中くらいに、面接のスケジューリングのために、今度は調査部のディレクターにメールを送りました。しかし、またしても返事がきません…。週末は当然として月曜日になっても返事が来ません。確認のために再送してみてもまだ返事は来ません。電話番号はわかりません。困りました。ウエストミンスターはメディアの盗聴騒ぎで大忙しであることは想像が付きました。どうしようかなとちょっと迷いましたが、火曜日は前述のレセプションで出会った議会のある局のディレクターとコーヒーをご一緒することになっていて、いずれにしてもウェストミンスターに行くことになっていました。なので、とりあえず行ってみて、火曜日の朝にメールがあるかどうかまた確認することにしました。

ディレクターとのコーヒーもおわりヒマになりました。メールをチェックしてもメールはきていません。仕方ないのでとりあえず保守党本部へいきました。まだメールはきません。待とうかとも思いましたが、それも大変なので、国際部のディレクターに電話して「あの、まだ時間が実はちゃんと決まっていないんですが、、、とりあえず目の前まで来てみました。何時頃、面接してもらえそうか、聞いてみていただけないでしょうか」と突撃してみました。すると、「いま調査部のディレクターは別の会議で忙しいんだけど、他にインタビューしてくれる人がいるから、上がっておいで」とのお言葉。

インタビューで話したことは前回と同じような内容です。30分くらい話したところで、面接官が「5分くらい待ってて」と言うので待っていると、ほどなくして戻ってきて、「じゃあ調査部でインターンをオファーします」と。き、決める時は早い。。。こうして無事に、まずは国際部と調査部でインターンができることに決まり、胸をなでおおろしたのもつかの間、今度は、いつからインターンが始まるのか、それがなかなか決まりません。調査部は10月10日からですが、国際部がいつからなのかわかりません。ここまでくると、実際に始まるまでは、いつキャンセルされてもおかしくないな、、、と思うようになり、とても不安になります。そして、私からの数多のメールと電話の後、ようやく9月2日(金曜)にメールをいただき、明日の9月6日(火曜)から無事にインターンができることが分かりました。

明日からついに念願のインターンが始まります。何をやらせてもらえるのか分かりませんが、この機会を生かせるよう、全力で頑張りたいと思います。これからこのブログでは、私自身のジャッジメントをあまり加えず、機密保持に反しない範囲で生の情報をお届けしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。